職場の休憩スペースで。取引先との打ち合わせが始まるまでの待ち時間に。久しぶりに会った知人と。
何か話さなきゃと思うほど、言葉が出てこない。
やっと話しても、すぐに沈黙が戻ってくる。そんな雑談の時間が、少し苦手な方もいると思います。
私も、人とのやり取りに気力を使ってしまう疲れを感じてきたひとりです。以前、職場の人間関係について書いた記事では、同僚とのランチでも気をつかって、仕事そのものより人とのやり取りのほうに気力を使ってしまう、という話を書きました。そして、ランチや雑談は断ってもいい、とも書きました。
その考えは、今も変わりません。全部の雑談に参加しなくていいと思っています。
ただ、エレベーターで一緒になったときや、会議が始まる前の数分のように、避けられない雑談もあります。
この記事では、会話についての心理学の研究をもとに、雑談についてのよくある3つの思い込みと、研究で分かったこと、そして今日からできる小さな実験を書きます。後半では、会話の研究をもっと知りたい方に向けて、本を2冊紹介します。
私は心理学の専門家ではありません。研究の内容は、論文の要旨や本文、研究者が所属する大学の公式の紹介をもとに書いています。
全部やらなくて大丈夫です。気になったところだけ、読んでもらえたらうれしいです。
雑談がしんどいのは「読み違い」のせいかもしれない
雑談が苦手だと、「自分は話すのが下手だから」と考えてしまいがちです。
でも、会話についての研究を読んでいくと、別の見方が出てきます。人は話す前に、「相手はきっと話したくないだろう」「気まずくなるだろう」と、実際よりも悪い結果を予想しやすい。そういう結果が、いくつもの研究で報告されています。
予想が悪いほど、話しかけるのをためらいます。話さないので、その予想が外れていたことにも気づけません。このあと紹介する2014年の研究の著者たちも、相手の気持ちを低く見積もることで、人は実際に話したらどうなるかを知る機会を逃している、と説明しています。
このシリーズでは、人間関係の悩みの多くは、相手の反応の「読み違い」から来ているのではないか、という見方で書いています。雑談も、そのひとつです。
ここから、3つの思い込みを順に見ていきます。先に全体をまとめると、次のようになります。

思い込み1「話しかけたら、迷惑かもしれない」
1つ目は、「話しかけたら、相手の迷惑になるかもしれない」という思い込みです。
通勤電車の実験(エプリーとシュローダー、2014年)
シカゴ大学ビジネススクールのエプリーさんとシュローダーさんは、2014年に、通勤中の人を対象にした実験を発表しています。
電車やバスで通勤している人に、「近くにいる知らない人に話しかける」「話しかけずにひとりで過ごす」「いつもどおりに過ごす」のどれかをお願いして、そのあとで通勤の時間がどうだったかを答えてもらいました。
結果は、知らない人と話した人のほうが、通勤の時間をより前向きに感じていました。話していたせいで、はかどらなかったと感じたわけでもありませんでした。
おもしろいのは、別の通勤客に「どれがいちばん快適だと思うか」を予想してもらうと、ちょうど逆の答えが出たことです。ひとりで過ごすほうが快適だろう、という予想でした。
研究チームは、この読み違いの理由のひとつとして、人が「相手が自分と話したいと思っている気持ち」を低く見積もっていることを挙げています。実験室の待合室で行った実験では、話しかけられた側の人も、話しかけた側と同じくらい前向きな体験をしていました。
ためらうのは「話し始め」(シュローダーら、2022年)
2022年には、同じ2人を含む研究チームが、ロンドン周辺の電車の通勤客でも実験をしています。ここでも、知らない人と話した人のほうが、よい体験をしたと答え、学んだことも多かったと答えていました。
この実験では、話すほうが楽しいだろうと予想する人も多くいました。それでも、人はなぜ話しかけないのか。続く実験で分かったのは、人が「会話を始めようとするところ」を、実際に話しているときよりも不快なものだと予想していたことです。その理由は、「相手は話すことに興味がないだろう」と考えていたからでした。
取引先との待ち時間や、エレベーターで一緒になったとき。「迷惑かも」と感じるその予想は、実際より少し悲観的なのかもしれません。
もちろん、相手が急いでいるときや、ひとりで過ごしたそうなときもあります。そういうときに話しかけないのも、ひとつの気づかいだと思います。また、この2つの研究は知らない人どうしの通勤中の会話を調べたもので、顔見知りの同僚との雑談で同じことが言えるかまでは分かっていません。
思い込み2「うまく話さなきゃいけない」
2つ目は、「おもしろい話題を持っていないと、雑談はうまくいかない」という思い込みです。
質問が多い人ほど好かれた(フアンら、2017年)
ハーバード大学のフアンさんたちは、2017年に、会話の中の質問と好感の関係を調べた研究を発表しています。
実験では、知らない人どうしが2人1組になり、オンラインのチャットで15分間、おたがいを知るための会話をしました。そのとき一方の人にだけ、相手には知らせずに、「質問を9個以上する」か「質問は4個までにする」という指示を出しました。
その結果、質問を多くするように言われた人のほうが、相手から好かれていました。中でも、相手の話を受けてさらにたずねる「追いかけ質問(フォローアップ質問)」が多い人ほど、好かれやすいという結果でした。
質問を多くした人は、相手から「よく聞いてくれる」「分かってくれる」「受け止めてくれる」「気にかけてくれる」人だと感じられていました。研究ではこれを「応答性」と呼んでいて、質問をする人が好かれるのは、この応答性が伝わるからだと説明されています。
同じ論文には、お見合いパーティー(スピードデート)の会話を調べた研究も入っています。大学の紹介記事によると、参加したのは110人で、会話は合わせて2,000回以上です。追いかけ質問を多くした人ほど、相手から「また会いたい」という返事をもらいやすくなっていました。
そして、もうひとつ。実験に参加した人たちは、「質問をすると好かれる」ということを予想していませんでした。
雑談で好かれるのに必要なのは、おもしろい話題を用意することだけではないようです。相手の話を聞いて、たずね返す。それも、相手にはちゃんと届いている。この研究からは、そんなことが見えてきます。
この研究は、アメリカの大学の研究チームが、知らない人どうしのチャットやお見合いパーティーの会話を調べたものです。また、この論文は2025年に第三者による点検(監査)を受け、結果の書き方の細かな誤りが訂正されました。訂正のお知らせでは、論文の結論はすべて有効だと確認された、とされています。
追いかけ質問とは
研究チームは、会話の中の質問をいくつかの種類に分けて調べていて、追いかけ質問はそのひとつです。相手がいま話したことを受けて、もう少しくわしくたずねる質問のことです。
たとえば、相手が「週末は、久しぶりに実家に帰っていました」と言ったとします。
- 話題を変える質問:「そういえば、来週の会議って何時からでしたっけ」
- 追いかけ質問:「ご実家はどちらなんですか」「久しぶりだと、変わったところもありましたか」
この例は、私が考えたものです。追いかけ質問は、相手がいま話した言葉を1つ拾って、たずね返すだけでつくれます。新しい話題を自分で考えなくていいところが、雑談が苦手な人にはありがたい点だと思います。
思い込み3「深い話をすると、気まずくなる」
3つ目は、「天気や仕事の話から先に進むと、気まずくなる」という思い込みです。
深い話の気まずさは、大きく見積もられていた(カルダスら、2022年)
ノースウェスタン大学などのカルダスさんたちは、2022年に、知らない人どうしの会話の「深さ」についての研究を発表しています。
実験では、知らない人どうしに、浅い話題か深い話題で話してもらいました。浅い話題は、天気や好きなテレビ番組など。深い話題は、「人前で泣いたときのこと」や「人生でいちばん感謝していること」などです。話す前には、どれくらい気まずくなりそうかを予想してもらい、話したあとに、実際にどうだったかを答えてもらいました。
すると、会話は本人たちが予想していたより気まずくなく、相手とのつながりや、話したあとの幸せな気持ちも、予想より大きいものでした。とくに外れていたのが、深い話の予想です。人は、深い話がどれくらい気まずくなるかを、浅い話以上に大きく見積もっていました。
両方の会話をしたあとでは、深い話をした相手のほうに、より強いつながりを感じていました。
研究チームが挙げている理由は、人は「自分が打ち明けた話に、相手がどれくらい関心を持ってくれるか」を、実際より低く見積もっている、ということです。一方で、相手が親しい友人や家族、パートナーのように、関心を持ってくれることがはっきりしている場合には、予想はより正確でした。さらに、予想がより正確になると、人はより深い話題を選ぶようになる、という実験もありました。
この研究も、知らない人どうしの会話を中心に調べたものです。職場の同僚のように、ある程度顔見知りの相手でどうなるかは、まだはっきりしていません。
ここから先は私の考えですが、職場の雑談なら、研究で使われた質問ほど深くなくていいと思います。天気の話の次に、少しだけ踏み込んでみる。たとえば「最近、楽しみにしていることはありますか」くらいの質問でも、天気の話よりは、相手の考えや気持ちに近づけるように思います。
話したあとの「反省会」も、読み違いかもしれない
雑談が終わったあと、「つまらないと思われたかな」と、ひとりで反省会をしてしまうこともあると思います。
これにも研究があります。コーネル大学などのブースビーさんたち(2018年)は、初めて会った人どうしが話したあと、人は「相手が自分をどれくらい好きか」「一緒に話して楽しかったか」を、実際より低く見積もっていたと報告しています。研究チームは、これを「好かれ度のギャップ」と呼んでいます。
このずれは、実験室での初対面の会話だけでなく、大学の寮で一緒に暮らし始めた1年生どうしや、一般の人が参加した講座でも見られました。寮の学生では、数か月たっても続いていたそうです。
人にどう思われているかが気になるときの話は、このシリーズの「人にどう思われているか気になる」の記事でくわしく書いています。
うまく話すより「聞く」に重心を移す
3つの思い込みを並べてみると、共通しているのは、雑談がどうなるかを、人は実際より悲観的に予想しやすい、ということです。
そして、質問の研究からは、好かれるために大事なのは話のうまさだけではなく、相手の話を聞いてたずね返すことでもある、と見えてきます。
話題を自分で用意しようとすると、雑談が始まる前から気力を使います。私も以前の記事で、人間関係に使える気力には限りがある、と書きました。うまく話すことより、相手の話を聞くことに重心を移す。そう考えると、雑談のハードルが少し下がるように私は思います。
1回ではなく、何回か試す(サンドストロームら、2022年)
もうひとつ、小さく試すことを後押ししてくれる研究があります。イギリスのサセックス大学などのサンドストロームさんたちは、アメリカとイギリスの2つの大学で集めた286人(平均年齢は約20歳)に、1週間、スマートフォンの宝探しゲームを使って、毎日知らない人を見つけて話しかけてもらいました。お題は「おもしろい靴をはいている人を探す」「コーヒーを飲んでいる人を探す」といったものです。比べるためのグループは、人を見つけて観察するだけでした。
話しかけたグループは、観察するだけのグループに比べて、断られることへの不安が小さくなり、自分の会話の力についても前向きに考えるようになっていました。その変化は、研究が終わってから少なくとも1週間は続いていました。毎日の記録からは、会話についての予想が、日を追うごとに前向きで、より正確になっていったことも分かっています。
参加したのは若い人が中心で、30代の会社員で同じ結果になるかは分かりません。それでも、1回うまくいかなかったからといってやめなくていい、何回か繰り返すうちに予想そのものが変わっていくかもしれない、と考える手がかりにはなると思います。
今日からできる小さな実験4つ
ここからは、研究の内容から考えた、小さな実験を4つ書きます。どれも、次の雑談で1つだけ試せる大きさにしています。全部やらなくて大丈夫です。
実験1:追いかけ質問を1つだけ入れる
次の雑談で、相手の話から言葉を1つ拾って、「それって、どんな〜ですか」とたずね返してみます。話題を変える質問ではなく、相手がいま話したことの続きをたずねるのがポイントです。
もとになっているのは、質問、とくに追いかけ質問が多い人ほど好かれた、という研究です。たくさんしなくていいので、まずは1つから。
実験2:天気の話の次に、少しだけ深い質問をする
「寒くなりましたね」のあとに、「最近、楽しみにしていることはありますか」「このお仕事で、どんなときにおもしろいと感じますか」のように、相手の気持ちや考えを少しだけたずねてみます。質問の例は私が考えたもので、研究で使われた質問よりずっと軽くしています。
もとになっているのは、深い話がどれくらい気まずくなるかを、人は大きく見積もりやすい、という研究です。相手が話したくなさそうなら、天気の話に戻れば大丈夫です。
実験3:話す前の予想を、あとで答え合わせする
雑談の前に、「どれくらい気まずくなりそうか」を10点満点で予想して、手帳やスマートフォンのメモに書いておきます。話したあとに、実際は何点だったかを書き足します。
もとになっているのは、話す前の予想と、話したあとの感想を比べた研究です。研究では、話す前の予想は、実際より悲観的になりやすいことが分かっています。何回か記録してみると、自分の予想のくせが見えてくるかもしれません。
実験4:質問したら、自分のことも1つ話す
追いかけ質問をしたら、自分のことも短く1つ話してみます。「私は最近、休日の朝にコーヒーを淹れるのが楽しみで」くらいの短さでじゅうぶんだと思います。
質問の研究をしたブルックスさんは、ハーバード・ビジネス・スクールの紹介記事の中で、自分のことは話さずに質問ばかり重ねると、心を開いていないように見えたり、立ち入りすぎに見えたりすることもある、と話しています。深い話の研究でも、人は自分の話への相手の関心を低く見積もりやすいことが分かっています。聞くことに重心を移しつつ、自分の話も少しだけ。そのくらいの釣り合いがいいと、私は思います。
早見表:雑談の悩みと、研究で分かったこと
| 悩み | 研究で分かったこと | やってみること |
|---|---|---|
| 何を話せばいいか分からない | 質問、とくに追いかけ質問が多い人ほど好かれた。本人たちはそれを予想していなかった(フアンら、2017年) | 相手の言葉を1つ拾って、追いかけ質問を1つ |
| 深い話は気まずくなりそう | 深い話の気まずさは、浅い話以上に大きく見積もられていた(カルダスら、2022年) | 天気の話の次に、少しだけ深い質問を1つ |
| 話しかけたら迷惑かも | 知らない人と話した通勤客のほうが前向きな体験をした。人は相手の「話したい気持ち」を低く見積もりやすい(エプリーとシュローダー、2014年) | 話す前の予想をメモして、話したあとに答え合わせ |
| 質問ばかりだと、詮索しているみたい | 自分のことを話さずに質問を重ねると、心を開いていないように見えることもある(ブルックスさんの話) | 質問したら、自分のことも1つ話す |
どれから始めるか迷ったら、いちばん小さく試せる「追いかけ質問を1つ」からがいいと思います。
そして、全部の雑談に参加しなくていい、という考えも、そのまま持っておいてください。ランチや雑談の誘いを断るときの言い方は、「【30代会社員】仕事を断れないときに。即答しない「断る練習」」に書いています。
人と話すことへの不安がとても強く、仕事や生活に差し支えるほどのつらさが続くときは、ひとりで抱えずに、医療機関や専門家に相談してください。
会話の研究をもっと知りたい方に。本2冊
質問や会話の研究について、もう少しくわしく知りたい方に向けて、楽天ブックスで手に入る本を2冊まとめます。どちらも、日本語で読める翻訳書です。
内容は、出版社や書店の紹介文、目次をもとに書いています。
『ハーバード式 会話の科学』|質問の研究者が書いた本
アリソン・ウッド・ブルックスさんの本で、翻訳は川添節子さん、出版社は早川書房です(2026年6月刊)。ブルックスさんは、この記事で紹介した質問の研究(フアンら、2017年)の著者のひとりです。書店に載っている著者紹介では、ハーバード・ビジネス・スクールの経営学准教授で、行動科学者として会話の科学を研究している方と紹介されています。
出版社の紹介では、行動科学の知見をもとに、人間関係と仕事を変える「TALKの四原則」を示した本だとされています。好感を高める、オープン・クエスチョンやフォローアップ質問の方法も扱われています。目次には、「話題」「質問」「ユーモア」「思いやり」といった章が並んでいます。
追いかけ質問の考え方を、研究者本人の言葉でくわしく知りたい方に向いていると思います。
『相手の本音を引き出す会話の正解』|会話のすれ違いを考える
チャールズ・デュヒッグさんの本で、翻訳は渡会圭子さん、出版社は早川書房です(2025年10月刊)。書店に載っている著者紹介では、ジャーナリストで、「ニューヨーク・タイムズ」の記者チームのリーダーとしてピュリッツァー賞を受けた方と紹介されています。
出版社の紹介では、アドバイスをしたつもりが「共感が欲しかった」と言われてしまう、といったすれ違いの原因は、話の内容ではなく「会話の種類のズレ」にあるとして、さまざまな会話を科学の視点から読み解いた本だとされています。目次には、「聞くことで癒される」という章もあります。
聞くことについて考えたい方や、会話がかみ合わないと感じることが多い方に向いていると思います。
2冊の早見表
| 本の名前 | どんな本か | こんな人に向いている |
|---|---|---|
| ハーバード式 会話の科学 | 質問の研究者が、行動科学の知見をもとに会話の方法をまとめた本 | 追いかけ質問の考え方を、くわしく知りたい人 |
| 相手の本音を引き出す会話の正解 | 会話のすれ違いを、「会話の種類のズレ」という視点から読み解いた本 | 聞くことや、会話がかみ合わない理由を考えたい人 |
どちらから読むか迷ったら、この記事の内容に近いのは『ハーバード式 会話の科学』です。早見表の「こんな人に向いている」の列から、今の自分に近いほうを1冊だけ選んでみてください。
よくある質問
Q1. 質問ばかりしていると、詮索されているように感じさせませんか?
研究者のブルックスさんも、自分のことは話さずに質問ばかり重ねると、心を開いていないように見えたり、立ち入りすぎに見えたりすることもある、と話しています。追いかけ質問は、相手が自分から話したことの続きをたずねるものなので、いきなり立ち入った質問をするのとは違います。質問のあとに自分のことも1つ話す、相手が話したくなさそうなら話題を戻す。そのくらいを意識しておけばじゅうぶんだと思います。
Q2. 職場の同僚や上司との雑談にも、当てはまりますか?
この記事で紹介した研究の多くは、知らない人どうしの会話を調べたものです。深い話の研究では、相手が親しい友人や家族の場合は、予想がより正確だったことも分かっています。同僚や上司のような顔見知りの相手でどうなるかは、まだはっきりしていません。だからこそ、小さな実験として1回試して、自分の場合はどうだったかを確かめてみるのがいいと思います。
Q3. 本は2冊とも読んだほうがいいですか?値段も気になります。
2冊とも読まなくて大丈夫です。気になった1冊からでじゅうぶんだと思います。この記事を書いた時点(2026年10月)では、楽天ブックスでの価格は『相手の本音を引き出す会話の正解』が2,970円、『ハーバード式 会話の科学』が4,950円(どちらも税込)でした。価格や在庫、届く日は変わることがあるので、購入する前に商品ページで確かめてください。
まとめ:次の雑談で、追いかけ質問を1つだけ
雑談が苦手なときに知っておきたい、3つの思い込みと研究について書いてきました。
- 人は、相手が自分と話したい気持ちを、低く見積もりやすい
- 質問、とくに追いかけ質問が多い人ほど好かれた。でも本人たちは、それを予想していなかった
- 深い話の気まずさは、実際より大きく見積もられやすい
- 話したあとも、相手にどれくらい好かれたかを低く見積もりやすい
雑談がしんどいのは、話すのが下手だからではなく、相手の反応を少し悪いほうに読み違えているからかもしれません。
全部やらなくて大丈夫です。雑談を断る日があっても、もちろんかまいません。人と話して気力を使う日があるからこそ、ひとりで静かにいる時間も大事にしたいと私は思っています。毎日15分ほどのひとり時間のことは、「【30代会社員】心の余白の作り方5つ|忙しい毎日に試していること」に書いています。
まず1つ試すなら、次の雑談で、相手の言葉を1つ拾って追いかけ質問をしてみる。うまく話そうとしなくていい。そう思えるだけで、雑談の時間が少し軽くなるかもしれません。
本を1冊だけ選ぶなら、質問のしかたをくわしく知りたい方は『ハーバード式 会話の科学』から開いてみるのもいいと思います。
今日のあなたに、少しでも余白が生まれますように。
参考にした研究
- Huang, K., Yeomans, M., Brooks, A. W., Minson, J., & Gino, F.(2017). It doesn’t hurt to ask: Question-asking increases liking. Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 430–452. https://doi.org/10.1037/pspi0000097(2025年の訂正:https://doi.org/10.1037/pspi0000491)
- Epley, N., & Schroeder, J.(2014). Mistakenly seeking solitude. Journal of Experimental Psychology: General, 143(5), 1980–1999. https://doi.org/10.1037/a0037323
- Schroeder, J., Lyons, D., & Epley, N.(2022). Hello, stranger? Pleasant conversations are preceded by concerns about starting one. Journal of Experimental Psychology: General, 151(5), 1141–1153. https://doi.org/10.1037/xge0001118
- Kardas, M., Kumar, A., & Epley, N.(2022). Overly shallow?: Miscalibrated expectations create a barrier to deeper conversation. Journal of Personality and Social Psychology, 122(3), 367–398. https://doi.org/10.1037/pspa0000281
- Boothby, E. J., Cooney, G., Sandstrom, G. M., & Clark, M. S.(2018). The liking gap in conversations: Do people like us more than we think? Psychological Science, 29(11), 1742–1756. https://doi.org/10.1177/0956797618783714
- Sandstrom, G. M., Boothby, E. J., & Cooney, G.(2022). Talking to strangers: A week-long intervention reduces psychological barriers to social connection. Journal of Experimental Social Psychology, 102, 104356. https://doi.org/10.1016/j.jesp.2022.104356
研究の説明には、研究者が所属する大学の公式の紹介記事も参考にしました(ハーバード・ビジネス・スクール、シカゴ大学ビジネススクール(2014年)、シカゴ大学ビジネススクール(2021年))。


コメント